植物を育てた後の古い土。なぜ、そのまま使わないのでしょうか?
今回は、古い土を消毒する理由、再利用するための方法、手順、コツ、おすすめリサイクル用土などをご紹介します!
古い土をそのまま使わない理由とは?
イメージ【写真AC】
一度植物を育てた用土には、いろんなものがまぎれ込んでいます。
例えば、古い茎や根っこ、固形肥料の残りカス、支柱と植物を結んでいたひも、などなど。
イメージ【写真AC】
目に見えにくいものでは、害虫のタマゴや雑草のタネなどもありますね。
病原菌やウィルスが潜んでいることも考えられます。
逆に、土のふかふか感(団粒構造など)や栄養分など、失ったものもあります。
雨などの影響で、用土が酸性に傾いてしまっているのも心配です。
っと、いうことで。
使い終わった土は、
1.根っこやゴミを取りのぞく
2.病原菌の殺菌
3.ガチガチ用土をふかふか用土に戻す
4.栄養分の補給
という作業が必要です。
作業自体は、そんなに難しくないので、ガーデニングを続けられる方は、ぜひ土の再利用をガーデニングサイクルに入れてくださいね。
ただし、有機栽培などで土中微生物が元気に育っている場合、土の消毒が必要ないことも。
有機栽培のプランターでは、堆肥や栄養分の追加だけで次の植物を植えることもあるので、有機栽培用の土の再利用法を調べてみてくださいね。
熱を利用した土の消毒方法
土の消毒方法には、いくつかの種類があります。
ここでは、太陽光など、熱で消毒する方法を4つご紹介します。
【太陽光消毒】
シートなどに土をうすく広げ、雨に当てずに1~2週間、太陽光(紫外線)で殺菌する方法。
イメージ【写真AC】
病原菌の心配が少ない古土であれば、この方法がいちばん簡単です。
ただし、風に飛ばされる、途中で雨が降る、新たに雑草のタネが飛んでくる、などの心配も。
【プランター太陽熱消毒】
水抜き穴に栓ができるプランターに、そのまま水を溜めて上からビニールでおおい、太陽光で消毒する方法。
水温が50℃以上になれば、有害菌が死滅するといわれています。
夏なら2週間、それ以外の季節は1か月が目安。
水をぬくときに軽くかき混ぜれば、過剰な肥料分を洗い流すことができます。
【熱湯消毒】
土を容器に入れて熱湯をかけて消毒する方法。
土の量が少ない場合や砂礫など粒が堅い場合に有効です。
古い鍋や鉄板で、打ち水をしながら15~30分ほど熱して加熱殺菌する方法も。
でもコレ、火が使えるお庭がないと難しそうですよね……。
【蒸気消毒】
古土に水を含ませビニール袋に入れて密閉し、太陽光に当てて蒸し焼きにする方法。
夏なら2週間、それ以外の季節は1か月が目安です。
鉢植えなどの場合は、おそらくこの蒸気消毒がいちばん簡単なので、手順について、もう少しくわしくご紹介しますね。
通常の蒸気消毒の手順
ビニール袋を使った、「通常」の蒸気消毒から再利用までの手順は、
1.古土をふるいにかけてゴミを取りのぞく
2.黒いビニールに入れて少し水を含ませる
3.密閉して日光にあてる
4.途中で袋ごと裏返す
5.消毒後、リサイクル材などをまぜる
6.堆肥・肥料などで栄養分を補給する
という流れです。
黒いビニール袋を使う理由は、光を集めて中の温度が上がりやすくなるから……、だと思われます。
園芸書などでも、理由が説明されていないんですよね。
ただ、湿らせた土を、透明のビニール袋に入れて日光をあてると、おそらく藻が発生しちゃうので、どちらにしても黒いビニール袋がいいと思います※。
※ 真夏に1か月以上おくと黒いビニール袋の中でも藻が発生することがあります
また、土の入ったビニール袋は、はしっこをちょっと踏んだだけですぐに穴があいてしまいます。
水を含ませるときや、途中で裏返すときなどにも破れる恐れがあるので、厚めのビニール袋を使うのがおすすめですよ。
実際の簡単(ズボラ)作業はこちら
では次に、わが家の蒸気消毒法をご紹介します。
ココロの準備はよろしいでしょうか(笑)。
まず、古い土をそのままガサッと透明のビニール袋に入れます。
Photo by kii watanabe
通常はここでふるいにかけて、ゴミや鉢底石を取りのぞくのですが、めんどうなので全部一緒に消毒します。
注)ここでミミズがいた場合は救済しましょう!土を耕してくれる大切な存在ですよ☆
そして、ビニール袋の中の土を水で湿らせます。
Photo by kii watanabe
土を湿らせる理由は、蒸し焼きにするため以外に、雑草のタネを発芽させる目的もあります。
ただし、水の量が多いと、開けた時に泥のようになっていることがあるので「全体を湿らせる程度」にしましょう。
Photo by kii watanabe
わが家では、これを黒いビニール袋に入れて二重にします。
Photo by kii watanabe
なんか怖い……。
Photo by kii watanabe
できるだけ連作を避けたいので、何を植えていた土かをメモしておきます。
これらを、西日がガンガン当たるコンクリートの上に並べて完了。
Photo by kii watanabe
時々、ひっくり返しながら1か月ほど待ちます。
ここまで、簡単ですよね(笑)。
蒸し焼き後にゴミの除去
ここからは、少~しだけめんどうなのですが。
消毒後の土をふるいにかけて、ゴミを取りのぞきます。
イメージ【写真AC】
わが家でよく見つけるのは、古い茎、根っこ、鉢底ネット、支柱バンドの破片、発芽した雑草の根です。
雑草の根はしぶとく、生きていることもあるので、まっ白なみずみずしい根っこがないか探します。
Photo by kii watanabe
ゴロ石もここでわけて、「古いゴロ石入れプランター」に、ポイッと入れておきます。
Photo by kii watanabe
ちなみに、消毒後、開けたばかりの土は湿っているのでふるいにくいのですが。
開けて乾かしていると、その間に雑草のタネが入りそうなので、湿ったまま強引にふるいます。
湿った土は、ふるい網をふってもなかなか落ちていかないので、軍手やゴム手袋をはめた手で上からこすり落とします。
細かくなって一緒に落ちていった根っこなどはあえて取りのぞかず、太い根っこやゴミだけのぞきます。
めんどうだけど、めっちゃ簡単(笑)。
そして、ふるう先は、またまたゴミ袋。
Photo by kii watanabe
わが家では、土をブレンドしたり保存したりするのは、もっぱらゴミ袋です。
長期の保存であれば、用土を買ったときの袋が丈夫で便利。
どちらも、使わないときはたためるので、場所を取りませんよ。
おしゃれガーデニングには、ほど遠いですが……(笑)。
腐葉土やくん炭でふかふか用土に
古土を消毒したあとは、ふかふか用土にかえる手順です。
わたしは、この過程がいちばん好き!
古土が生まれ変わる瞬間ですね。
通常、消毒済みの古土は、
「古土(5)+赤玉土(2)+腐葉土(2)+くん炭(1)」
と、いうような割合いで使うことが多いようです。
わが家は、赤玉土は使わず、
「古土(5)+腐葉土(3)+パミス小粒(1)+くん炭(1)」
と、いう感じで使います。
腐葉土は、土をふかふかにしてくれる代表的な改良用土。
通気性、保肥性にすぐれています。
パミスとは軽石のこと。
通気性・排水性をよくして微生物のすみかにもなります。
くん炭はもみがらを蒸し焼きにして炭化させたもの。
通気性をよくして、こちらも微生物のすみかになります。
また、くん炭はアルカリ性なので、雨で酸性にかたよった土のPHを矯正する効果も。
優秀な改良材ですが、服や手につくと炭で真っ黒になるので、購入する際など、持ち運びには気をつけてくださいね。
再生土の配合は、植える植物やガーデナーの好みによってちがうので、みなさんもぜひ、オリジナルブレンドを楽しんでみてください!
肥料は植えるものが決まってから
古土をふかふか用土にかえた後、すぐに使うのであれば、ここで栄養分も混ぜ込みます。
化成肥料なら、混ぜてすぐに使えるものがたくさんありますが、有機肥料の中には、植えつけの数週間前に施す必要があることも。
植えつけ日や植物にあわせて、計画的に準備しておきましょう。
植え付けの予定がない場合は、栄養分の補給は後回しにするのがおすすめです。
なぜなら、植える植物によって必要な栄養素がちがうし、マメ科の植物のように、肥料分を少なめに施す必要がある植物もあるからです。
ちなみに、これはわたしだけかもしれませんが。
植える植物にあわせて肥料を選ぶと、動物のペットフード選びのようで、ちょっと楽しいのです……(笑)。
土のリサイクル材を使うと簡単
古土をふかふか用土にする過程ですが。
「赤玉土とか腐葉土とか、よくわからない!」という方は、消毒後にまぜるだけですぐに使える「リサイクル材」を使うと便利ですよ。
使い方や、配合されている堆肥などは、メーカーによって違います。
わたしは自分でブレンドするのが好きなので、リサイクル材は使いませんが、配合成分などを見て「ハイポネックス 土のリサイクル材」がよさそうだな、と思いました。
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くわしくお伝えするのは難しいのですが、微生物の活性化をうながす原料が多く配合されているので、ふかふか用土のままキープしやすいのではないかと思います。
微生物がいなくなった土は、カッチカチになりやすいんですよね。
このリサイクル材は、ちゃんと「土を育てる」ことを考えられていると感じました。
わたしもたまには、リサイクル材を使ってみようかなぁ……?
おわりに
ガーデニング用土は、手作りするとホントに楽しいです。
「バッドグアノ」や「カキ殻石灰」など、「何コレめっちゃ効きそう……!」と思う、おもしろい肥料や改良材がいろいろあって、ついこだわりたくなります。
みなさんもぜひ、オリジナルブレンドの「マイ培養土」で、たくさんの花や収穫を楽しんでくださいね!
最後まで読んでくださって、ありがとうございました☆
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【出典】
◆『用土と肥料の選び方・使い方』(加藤哲郎 著/農文協 1995年)